連載 Dr.長坂の身体所見でアプローチする呼吸器診療・14
—Common diseaseの身体所見③—肺炎か気管支炎か,それとも気管支肺炎か?
長坂 行雄
1,2
1洛和会音羽病院
2洛和会京都呼吸器センター
pp.500-508
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200174
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急性の肺感染症で,胸部X線に浸潤影あるいはすりガラス陰影(ground glass opacity;GGO)が認められれば肺炎(図1,2),まったく認められなければ気管支炎で,部分的に,いくらか肺紋理が不鮮明で肺区域より小さいGGOがあれば気管支肺炎(図3),というのは,呼吸器科医のほぼ共通した認識であろう.日本呼吸器学会の「成人肺炎診療ガイドライン2017」でも,『胸部X線検査では気管支透亮像を伴う浸潤影が細菌性肺炎を示唆する所見である.』と総論に書かれている1).
Heitzmanは著書「The Lung2)」で,soft X-rayと大切片の病理を対比し,気管支肺炎は気管支に沿った肺の二次小葉単位で病変があるとしている.区域単位以上の広がりがあれば肺炎,広がりが二次小葉よりも小さければ気管支炎となる.図4に示す症例は,気管支肺炎と気管支炎の中間くらい(2次小葉1〜2個くらい)の広がりだが,胸部X線では異常の指摘は困難で,通常は急性気管支炎とされよう.現在ではHRCT(high-resolution computed tomography)でこの区別は明瞭にできるが,胸部X線でほとんど所見がない例でのCT撮影には,他の胸部X線異常が指摘されたなどの必要性がなければならない1).
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