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編集後記
冨永 悌二
pp.768
発行日 2020年8月10日
Published Date 2020/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204269
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今月号の扉には,水野順一先生による「日本脳神経外科学会における脊髄外科」が掲載されている.脊髄外科が日本脳神経外科学会のサブスペシャリティー分野であり,歴史も長いにかかわらず,未だ十分成長していないのでは,との危惧を述べられている.超高齢化社会を迎えて脊椎変性疾患のニーズは高まっているものの,日本の脳神経外科医の脊椎脊髄手術数は諸外国に比べて圧倒的に少ない.さまざまな要因はあるが,「『日本神経外科学会』ではなく,『日本脳神経外科学会』という名称が脳偏重の手術を生んでいる」という指摘は一理あるかもしれない.本来,脳神経外科は「脳・神経外科」として出発したものの,昭和40年,医療法に診療科として加えられる際に,法律上「・」を入れることができず「脳神経外科」となった.このとき「脳・」を除けば,事態は変わっていたかもしれない.
総説では,刈部博先生が「新しい頭部外傷ガイドライン」について述べられている.『頭部外傷治療・管理のガイドライン』の歴史的変遷,理念,改訂のポイント,今後の課題などが要領よくまとまっている.一見,ガイドラインのみを扱っているようにみえて,その実,ガイドラインをプリズムとして頭部外傷の考え方や疫学の変遷,時々の研究成果,現在のトピックの概要などがわかるようになっている.共同著者として手前味噌で恐縮だが,ぜひ若い先生に一読を勧めたい.
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