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本号の扉では,本望修先生が神経再生の研究を通じて得た所感を「医学研究とは自然との対話である」として綴られている.小生も本望先生と感を同じくするところ多である.神経再生の研究では,従来の常識に反した,驚くような結果を目にすることがある.これまでの脳虚血の研究がいかに急性期損傷にのみに意を配り,生き残った神経組織の病態に無関心であったかを思い知る.確かに中枢神経の修復・再生機構には未知の部分も多く,本望先生の“無知の知”を認識すべしとは言い得ている.
特別寄稿は,好評であった第76回学術総会の企画を改変し「脳神経外科コントロバーシー2019」として3号にわたって掲載される中編である.本号では,顕微鏡vs.鏡視下手術,下垂体腫瘍に対する顕微鏡手術vs.内視鏡手術,グレード2神経膠腫の治療法,NF2聴神経腫瘍の外科手術が掲載されている.いわば脳神経外科診療におけるホットスポットであり,それぞれ力作である.総説では,伊関洋先生が医工融合による医療機器開発の現状について詳述されている.ものづくり大国と言われさまざまな技術を有している日本で,どうして医療機器開発が進まないのか,具体的に医療機器開発を進めるにはどのようなことに留意しなければならないのかなどが懇切かつ実際的に解説されている.また伊関先生自身の,悪性脳腫瘍に対する光線力学的療法(新規医療機器)の医師主導治験から薬事承認,保険収載までの経験も述べられており,医療機器開発に興味のある方はぜひ読んでいただきたい総説である.現在日本脳神経外科学会で構築が進んでいるJNDを用いた医療機器開発市販後調査のためのコンソーシアムも,このような医療機器開発のフレームワークの中で考えると,その必要性や先進性が理解されるかもしれない.
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