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編集後記
冨永 悌二
pp.98
発行日 2016年1月10日
Published Date 2016/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203215
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本号の扉では,中田教授が「脳神経外科医を減らさない方策」を書かれている.確かに脳神経外科医が生き生きと輝いている姿を見せなければ,学生や研修医は脳神経外科を志望しない.脳神経外科医が生き生きと働いている姿を見て,若手が入って組織が活性化し,さらに生き生きと仕事をしていける正のスパイラルが理想ではある.しかし脳神経外科医の熱心な勧誘にも抗する要因は,学生気質や価値観の今昔の違い,厳しい医療環境など多々あるものの,基本診療科であることが広く知られていないこともあるかもしれない.そこで学生に接する際には必ず,脳神経外科が基本診療科であり,診療のすべてが手術に特化している訳ではないこと,基本診療科であるからこそ,神経に関連する多くの基礎臨床分野のゲートウェイにもなり得ることを伝えるようにしているが…….
総説の「脳波からみた意識障害」も興味深い.Nonconvulsive status epilepticusを過小評価しているとの指摘は傾聴に値する.日本脳神経外科学会の創立年である昭和23年,第48回日本外科学会総会での桂重次教授の宿題報告は「脳外科と脳波」であり,当時から実験的にも臨床的にも脳波が研究されてきた.このような歴史の古いモダリティを用いての病態の再評価は,周辺のさまざまな医療技術・検査が進歩した現在,また新たな知見を生むかもしれないとの期待を抱かせる.今後の発展を祈念したい.
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