Japanese
English
総説
脳保護療法の新展開
Recent Progress in Cerebroprotective Therapy
山下 徹
1
,
阿部 康二
1
Toru YAMASHITA
1
,
Koji ABE
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学
1Department of Neurology, Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences, Okayama University
キーワード:
cerebral infarction
,
ALS
,
edaravone
,
free radical scavenger
,
neurovascular unit
Keyword:
cerebral infarction
,
ALS
,
edaravone
,
free radical scavenger
,
neurovascular unit
pp.1001-1008
発行日 2016年12月10日
Published Date 2016/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203419
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Ⅰ.はじめに
フリーラジカルスカベンジャーの1つであるエダラボンは,当科の阿部らの論文を嚆矢として1),2001年に臨床現場に登場し,脳梗塞治療に広く使われてきている.著者である山下らは,自然発症高血圧ラットに4.5時間の一過性中大脳動脈閉塞と組織型プラスミノゲンアクチベータ(tissue plasminogen activator:tPA)静注を行うことで出血性脳梗塞モデルを作製し,エダラボンがneurovascular unit(NVU)の破綻を抑制し,出血性脳梗塞を軽減させることを明らかにして報告した24).エダラボンはすでに臨床現場でtPAと併用され,脳保護療法の新しい側面が臨床データとして示されてきている.また,頚動脈内膜剝離術などの周術期にエダラボンを投与することで,過灌流症候群を予防する効果が基礎的な実験や臨床データから報告されてきている16,21).さらに特筆すべきことに,神経難病の1つである筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)の症状進行を抑制する効果が証明され,実際に臨床現場で使われるようになるなど,エダラボンが臨床現場で使用される場面がますます拡大してきており,その治療効果も注目されている.
本総説では,近年新たな展開をみせてきているエダラボンなどの脳保護薬について,最新の知見と今後の展望について紹介したい.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.