扉
意識改革
上羽 哲也
1
1高知大学医学部脳神経外科
pp.283-284
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203009
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高知にやってきて早いもので2年になろうとしています.着任した当初は新しい環境と教授という職責に戸惑うことも多かったのですが,青い空に碧い海,そして太陽の温もりに恵まれた高知が,ある日,若い頃留学していたカリフォルニアのように思え,なじみはじめました.それ以来,自分の中で物の見方や考え方を切り替えることができるようになり,少し気が楽になりました.
みなさん,パラダイムという言葉をご存知でしょうか? 私は,最近になりこの聞き慣れない言葉をよく耳にするようになりました.マネージメントをする立場になり,私の中で意識が変化してきたため敏感になっているのだと思いますが,パラダイムという言葉を辞書で調べると“ある時代や分野において支配的規範となる「物の見方や捉え方」のこと”と記載されています.さらに,狭義には科学分野の言葉で,このような規範的考え方は,時代の変遷につれて革命的・非連続的な変化を起こすことがあり(=天動説から地動説への変化など),この変化をパラダイムシフトと呼ぶと記載されています.シフト前後の考え方に対して,優劣などの価値判断を行わない概念であることも重要です.となると,私が高知のことを,日本のカリフォルニアのように思えるようになったのも,私の中の小さなパラダイムシフトだったのだと思います.教授職に着任し,どのようにマネージメントしていくかも,この小さなパラダイムシフトをした私の意識から導き出せばよい訳ですから,少し気が楽になったのも合点がいきます.
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