特集 在院日数短縮と看護の関係
看護の工夫と在院日数短縮
スタッフの意識改革を第一に据えた取り組み
村上 美好
1
1済生会横浜市南部病院
pp.1029-1033
発行日 1997年11月1日
Published Date 1997/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905463
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はじめに
日本の急速な少子高齢社会と就業構造の変化,医療の高度化,低経済成長などは国を揺さぶるほど深刻な医療費の構造的赤字を生み,いま,盛んに医療保険制度の根本的見直しの必要性が指摘されている.ついに,8月7日,厚生省は,医療費の総額抑制と患者の負担増を柱とした改革案を与党医療保険制度改革協議会に提出した.その骨子は,新聞の報道によると,患者負担増や診療報酬体系の見直し,医療提供体制のスリム化,医薬品の上限価格制導入,高齢者医療制度の創設であり,全体として医療費の適正化を図るものである.
このうち診療報酬体系の見直しでは,病気によって支払い額が決まる「定額払い」を大幅に拡大するよう提唱している.これまで,急性疾患については治療や検査が増えるほど医療費も増える「出来高払い」を原則としてきた.が,今回の見直しでは入院後一定期間を経過して病状が安定した場合は,慢性疾患と同じく一日あたりの定額払いとすることや,白内障など医療内容が定型的な場合には,当初から定額払いとするというのである.こうした医療費の抑制は,おのずと在院日数を短縮化の方向へ導くことになる.今のところ,診療報酬からみて,在院日数20日以内が最も高い額の要件となっている.これからは,もっと短くなるのは必定である.
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