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I.はじめに
いわゆる正常圧水頭症(NPH)も頭蓋内圧を持続的に測定すると,圧波が認められたり,基本圧も上昇していたりする場合があり,こうした症例に髄液のシャント手術が有効であるという報告は多い4,5,11,15,16,21,22)しかし頭蓋内圧上昇そのものが患者の生命予後を左右するほどではない本疾患においては,単に検査のためだけに穿頭術を行うのはためらわれることが多いのも現実であろう.
頭蓋内占拠性病変がなければ狭義の頭蓋内圧である脳室内圧と腰部クモ膜下腔圧はほぼ同じであることは以前から報告があるが11,19),われわれも実験的に静水圧のみが上昇する病態では腰部クモ膜下腔圧は硬膜外圧とよい相関を示すことを明らかにした13).NPHも腰椎穿刺で脳ヘルニアを起こす危険はまずないといえるので,今回はシャント手術適応決定を目的としての持続腰部クモ膜下腔圧測定の臨床的評価を行った.また従来の報告は全ての症例にシャント手術を行い,効果の予測因子を検索したものが多かったが,本研究ではいろいろな理由でシャント手術を行わなかった症例の長期予後も同時に検討した.
Lumbar subarachnoid pressure (LSP) was con-tinuously monitored via intro thecally introduced polyethylene catheter to select the patients for shunt operation. A total of seventy cases included so-called normal pressure hydrocephalus (NPH) secondary to subarachnoid hemorrhage (SAH ; 34 cases), idiopathic NPH (17 cases), secondary NPH whose symptoms de-veloped after operations for brain tumors, head injuries or meningitis (12 cases) and other intracranial diseases including pseudotumor cerebri or meningeal carcinoma-tosis, etc. (7 cases).
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