今月の主題 脳脊髄液
症例
正常圧水頭症
石川 正恒
1
Masatsune ISHIKAWA
1
1財団法人田附興風会北野病院脳神経外科
キーワード:
水頭症
,
高齢者
,
認知症
Keyword:
水頭症
,
高齢者
,
認知症
pp.439-444
発行日 2005年4月15日
Published Date 2005/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100136
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1. 水頭症とは
水頭症とは,脳室ないしその他の頭蓋内腔(主としてくも膜下腔)に,異常な大量の髄液が貯留し,これらの腔が拡大した状態(症候群)である.ふつう頭蓋内圧亢進を伴うが,正常頭蓋内圧例が稀ならずみられる.
髄液は1日に約500mlほど産生されており,産生部位は脈絡叢が主体であるが,脈絡叢外の毛細血管からも産生される.一方,髄液吸収は矢状静脈洞近傍のくも膜顆粒から行われるが,これ以外の毛細血管からも吸収される.髄液は全体として一定の流れがあり,側脳室や第3脳室で産生された髄液は中脳水道を経て,第4脳室へ至り,これより脳室外へ出て,脳底槽から次第に上行し,大脳の外側面,内側面を通って上矢状静脈洞に至り,くも膜顆粒で吸収される(図1).この流れが障害されると,それより近位部が拡大することになる.
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