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特集 脳卒中の外科
治療の進歩
クモ膜下出血後の正常圧水頭症
Normal pressure hydrocephalus following primary subarachnoid hemorrhage
堀江 武
1
,
牧野 博安
1
Takeshi HORIE
1
1千葉大学医学部脳神経外科
pp.1585-1591
発行日 1975年12月20日
Published Date 1975/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206400
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はじめに
動脈瘤破裂後の合併症として,動脈攣縮,ときに閉塞,これに伴う脳浮腫,硬塞,脳内血腫,さらに交通性・非交通性水頭症等の発生が知られている.この交通性水頭症の発生に関しては,クモ膜下腔にでた血液が天幕切痕部,脳底槽,シルビー溝槽,大脳表面等において脳脊髄液(以下CSFと略す)の流れを閉塞して起こる.ことに約80%のCSFが流れる脳底槽前半部が閉塞されたときには,急性の水頭症(HCと略す)を生じ,そのための意識障害は動脈瘤破裂自体により起こる中枢神経系のショックや視床下部への穿通枝の攣縮による意識障害と重畳し臨床像および経過をさらに複雑化させている.この急性HCに対して,一定期間後に慢性HCともいうべきものの発生することも衆知の事実であり,その臨床像はAdamset al.1)の提唱したnormal pressure hydrocephalus(NPH)の概念で把握されている.このNPHは1964年Hakim19)が"paradoxical combinationof symptomatic hydrocephalus and normal cerebrospinal fluid pressure"として報告したのに始まる36).その後数多くの報告があるが,この症候群に対し種々の名称が提唱されている.
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