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I.はじめに
髄膜腫は代表的な良性脳腫瘍の1つとされているが,なかには発育が速やかであったり,転移をきたすなど臨床経過の上から良性とはいえない症例が存在することも指摘されており10,20,29,40,51,58),細胞の生物学的態度に広がりがあることが予想される.この点について.主に形態学的な方面からその態度を推測しようという努力が続けられてきているが,いまなお意見の一致をみない点もあり1,7,10,12,23,32,34,45,52,54,55,57-59),他の方法による検索の成果が期待されるにいたっている.
その1つとして,大量の細胞について個々のDNA量を短時間に知る方法として開発されたflow cytometry(以下FCM60))の.各種脳腫瘍への応用についての報告が1976年Hoshinoら21)によりなされるようになり.FCMヒストグラムが腫瘍の生物学的態度を知る方法として脳神経外科臨床領域において有用とされている.一方,FCMヒストグラムと腫瘍の悪性度の間に相関をみいだせなかったとの報告もみられる41).今回,培養前後の髄膜腫について,細胞のDNA量に密接な関係をもつ染色体分析手技を併用してFCMを用い検討した.
Although meningiomas have been regarded as one of the benign brain tumors, cases showing clinically malignant behavior have been reported. For the purpose of detecting the possibility of predicting different biological behavior in meningiomas, eleven meningiomas were studied with the aid of flow cyto-metric (FCM) and cytogenetic techniques.
Morphologically two cases were diagnosed as syncytial meningiomas and nine as transitional meningiomas. The former included one case (#5) of "syncytial poorly structured meningioma" (Zang et al.).
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