明日への展開 ADVANCED TECHNOLOGY
III.腫瘍
Flow cytometryとCell biology
西谷 巌
1
,
佐藤 健
1
Iwao Nishiya
1
,
Ken Sato
1
1岩手医科大学産科婦人科学教室
pp.285-293
発行日 1984年4月10日
Published Date 1984/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206975
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細胞生物学の目覚しい進歩によって,その研究領域も分子レベルまで堀り下げられ,研究手段となる新しい解析機器が相ついで実用化されている。
その代表的なものの1つがFlow cytometry (以下,FCMと略)1〜4)であり,わが国においてもようやく注目を集めている。さて,FCMは,1967年以後主として米国において急速に開発研究が進められてきたが,この特徴は,細胞浮遊液をおよそ10m/secの細い高速水流として流し,通過する細胞にレーザー光線を照射して,そこで生ずる螢光,散乱光,光吸収量などを電気信号に変換してその情報を記憶表示することのできるcell analyser機構と,その目的細胞集団を領域選択により分離分取できるcell sorting機構とを備えていることであり,多数の細胞集団から物理学的,生化学的情報(細胞形態,細胞活性,核酸量,酵素量,抗原の存在など)を瞬時にうることができる両期的な方法である。現在,欧米をはじめ,本邦でもFCMが広く利用される気運にあり,医学の基礎研究・臨床研究を問わず応用される可能性がえられているので,その概略を述べる。
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