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Ⅰ.はじめに
椎骨脳底動脈領域の動脈瘤は,全頭蓋内動脈瘤の5%前後といわれている1,2,3).また,その破裂発作は呼吸,心拍の一時的停止などを伴うきわめて重篤な症状を呈することがあり,破裂しない場合でも下位脳神経あるいは下部脳幹への圧迫症状を呈したり,ときには動脈瘤に近接する脳幹部の血流障害に起因すると思われる椎骨脳底動脈不全症のごとき虚血発作4)を起こすことがあるという臨床上の特徴を有している.また,その外科的処置としては,直達手術が最も完全な方法であるということは論をまたないが,動脈瘤の部位やその形状あるいは患者の全身状態などによっては直達手術が困難であろうと考えられる場合もあり,やむをえず動脈瘤に対する間接的処置すなわち椎骨動脈結紮術が行なわれる場合もある.しかし,この椎骨動脈結紮術は,従来,その破裂予防効果に疑問があるという意見も多く10),さらに,それを行うことにより重篤な神経脱落症状を呈してくる場合もあることが報告されている14).
ところで,われわれは今回,左椎骨動脈の後下小脳動脈起始部に約1×2cmの比較的大きい嚢状の動脈瘤を認め,しかも短期間に2度の破裂発作を有し,そのたびに呼吸停止などの重篤な症状を呈したため,再破裂を予防するために早急な処置が望まれたが,患者の全身状態などにより直達手術は危険が大きいと思われたので,左椎骨動脈を頸部で結紮した1症例を経験した.
A 48-year-old male was transferred to our hospital on October 12, 1976 with severe headache and double vision. Eight days prior to admission, he was suddenly attacked with severe headache and unconsciousness which continued about 30 minutes. Lumbar puncture showed bloody CSF. His consiousness level was gradually improved to be alert at admission. Detailed neurological examination revealed only moderate neck stiffness and right VI th nerve palsy.
He was reattacked with sudden onset of unconsciousness, apnea and bilateral mydriasis 6 days after admission.
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