とびら
「親になって,想うこと」
河野 智行
1
1宮崎県立こども療育センター
pp.157
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105758
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本誌の巻頭「とびら」欄は,私にとって日常臨床のなかで感じている悩みやストレスに対し,先輩から教えや励ましの言葉をもらう場所です.まさか,若輩者の私が書くことになろうとは思いもせず,同じ考えをもって読んでいる方たちに申し訳ないと考える反面,このような貴重な機会を与えてくださった先輩に感謝したいという気持ちでペンを取ることにしました.
私が理学療法士として小児の臨床に携わり6年が過ぎようとしています.思えばこの間,人生の節目を迎えるごとに,子どもとその家族への関わり方が変わっていきました.臨床に立ちはじめた頃は,子どもの未獲得な機能や能力ばかりに着目していて,親御さんと十分に話もできず,両親や周囲の環境をも含めて障害をとらえることができませんでした.先輩方の接し方は自然で,世間話から母親の思いを聴いたり,今子どもが直面している問題や,環境・状況を把握するように展開していく日常会話のやり取りに耳を傾けては,その技術を盗むのに必死でした.あれは入職2年目を迎えたころ,小児のある研修会に参加した際,講師の先生が話された言葉が心に刺さったことを良く覚えています.「君は脳性麻痺に興味があるのか,それとも脳性麻痺児なのか」と…….
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