Japanese
English
手術手技
下垂体の手術—ことに開頭法について
Transcranial Pituitary Surgery
魚住 徹
1
,
森 信太郎
1
Tohru UOZUMI
1
,
Shintaro MORI
1
1広島大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Hiroshima University School of Medicine
キーワード:
Pituitary adenoma
,
Pituitary gland
,
Transcranial pituitary surgey
Keyword:
Pituitary adenoma
,
Pituitary gland
,
Transcranial pituitary surgey
pp.411-416
発行日 1977年5月10日
Published Date 1977/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200613
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Ⅰ.緒言
下垂体の外科の主体は下垂体腺腫の摘出および外科的内分泌療法としての下垂体摘除である.開頭による下垂体の手術のrouteはfrontal approach,frontotemporal approachおよびtemporal approachの3つがある.いずれもその歴史は古く,1900年の初頭から1930年代にかけてKrause,Frazier,Cushing,Dandy,Horsley,Adsonらによって手技の原形が形づくられ,その後工夫が重ねられながらひろく用いられ現在に至っている12).さらに1960年代後半から手術用顕微鏡が導入され手術成績が向上してきた5).
開頭法を下垂体腺腫の手術法として選択する場合の利点は,確実に鞍上部伸展を除去できることにある.すなわち,鞍上部の構造を直視下におさめながら手術を行いうるという安全性が特徴である.下垂体腺腫の多くにみられる鞍上部伸展には色々な形があるが,これを決定するものは腫瘍の発育性の他にトルコ鞍の骨構造の強度とトルコ鞍横隔膜の形態である.トルコ鞍横隔膜は多くは数mm径の開口部を持った頭蓋底硬膜の襞であるが個人差が強く1),下垂体下端に密着して完全にトルコ鞍口を閉鎖しているものから,トルコ鞍口周囲にほとんど鞍横隔膜がなくくも膜に覆われた下垂体が露出してみえるような例まで様々である.
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