総説
Cerebral Malformation
牧 豊
1
,
榎本 貴夫
2
Yutaka MAKI
1
,
Takao ENOMOTO
2
1筑波大学脳神経外科
2千葉大学脳神経外科
1Department of Neurological Surgery, Institute of Clinical Medicine, The University of Tsukuba
2Deparment of Neurological Surgery, School of Medicine, Chiba University
キーワード:
Cerebral malformation
,
Congenital anomaly
Keyword:
Cerebral malformation
,
Congenital anomaly
pp.401-410
発行日 1977年5月10日
Published Date 1977/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200612
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Ⅰ.はじめに
先天異常congenital anomalyの原因が,ヒトの個体発生のどの段階にあるかで,i)遺伝子の異常→遺伝子病genopathy, ii)精子・卵子という配偶子形成の異常→配偶子病(染色体異常chromosome disorder),iii)組織分化の充分に行われていない胎芽の異常→胎芽病embryopathy, iv)胎児の原型ができてからの障害→胎児病,などの4つの疾病過程による先天異常に分けられ,更に,先天異常はその質により,形態異常(奇形)と機能の異常(先天性代謝異常)に分けられる.
従来,脳奇形brain malformationは,胎芽病としての形態異常formative pathogenesisのみを対象としてきた分類が多かったが,DeMyer8)の分類(Table1)は以上の観点から整理されており,かつ臨床症候の配慮があり,カルテ用分類medical record libraryとしてきわめてすぐれている.しかし,発生時期に関しては,やや明瞭さを欠くうらみがある.分類は,その志向する目的によって,その分類原則が異なる,臨床的には発生時期がおよそいつであるか一目瞭然としたものがあればよい,すなわち,発生原因の分析や将来の予防にも役立つからである.その意味では,形態異常のみの分類であるが,Adams and Sidman1)の分類に基づくWolpert6)の分類(Table 2)がきわめて便利である.
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