Japanese
English
境界領域
記憶物質
Memory Substance
永田 豊
1
Yutaka NAGATA
1
1慶応義塾大学生理学教室
1Department of Physiology, School of Medicine, Keio University
キーワード:
Neurochemistry
,
memory
,
Memory substance
,
Scotophobin
,
Chemical transfer
,
memory
Keyword:
Neurochemistry
,
memory
,
Memory substance
,
Scotophobin
,
Chemical transfer
,
memory
pp.23-27
発行日 1974年1月10日
Published Date 1974/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200139
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神経活動の物質的背景をさぐる第4回国際神経化学会議は,今年8月26日から31日まで東京の日本都市センターで800人以上の参加者を集めて盛大に開催された.この会議の焦点の一つは近年注目されてきた記憶の神経化学的研究による解明がどの程度まですすめられてきたかという点をとりあげた"記憶の蓄積機構の生化学的研究"という円卓討論会で,米国のカリフォルニア大学のBarondes教授が座長となってミシガン大学のAgranoff教授,ベイラー大学のUngar教授,ノースカロライナ大学のGlassman教授,スウェーデンのHyden教授などが参加して活発な討論がくりひろげられた.
学習や記憶の能力は人類においてもっとも高度に発達している過程であって,人類に一番近い霊長類よりもきわだってすぐれており,これが人間と他の動物と区別する重要な点の1つにあげられているほどである.このように学習・記憶の現象は人間にとって非常に重要なものであるといわれながらも,従来この方面の研究は主として心理学や精神医学の立場などから抽象的に取扱われてきた.しかし最近20年来この記憶の問題をもより生物学的基盤にたって実験的に研究してゆこうとする勇敢な人々が挑戦を始めて,諸外国では"記憶の神経化学"に関するシンポジウムがしばしば開かれ多くの研究者たちの強い関心を集めている.そしてこれらの発表は数多くの総説や書物1-7)にまとめられて出版されており,今や流行の課題の一つになりつつある.
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