Japanese
English
総説
分子—海馬—記憶—第II部:記憶制御装置としての海馬
Molecule-Hippocampus-Memory. Part II : Hippocampus as a Memory Control Apparatus
酒井 邦嘉
1
,
宮下 保司
1
Kuniyoshi Sakai
1
,
Yasushi Miyashita
1
1東京大学医学部第一生理学教室
1Department of Physiology, School of Medicine, University of Tokyo
キーワード:
memory
,
hippocampus
,
autoassociative neural network
,
amnesia
Keyword:
memory
,
hippocampus
,
autoassociative neural network
,
amnesia
pp.111-128
発行日 1991年2月1日
Published Date 1991/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900156
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本稿は,海馬を中心に据えて記憶研究の現状を広範な分野から概観し,分子レベルから行動レベルまでの一貫した理解を目指す1つの試みである。第I部では,海馬におけるLTPおよびLTDを中心として,可塑シナプスの分子機構について解説した(酒井・宮下1990)。分子レベルでのアプローチにおいては,生理学と生化学の方法を相補的に適用することが重要である。この第II部では,さらに解剖学および神経学,そして心理学や情報科学等の観点を総合しながら,記憶の問題について考えてみる。特筆すべき最近の知見として,逆向性健忘の時間依存性が実験的に明らかにされたことが挙げられる。この結果は,記憶の形成において海馬がある限られた時間でだけ必要とされるということを示している。
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