Japanese
English
総説
脳腫瘍の硼素中性子捕捉療法—本邦における5年間の歩みと将来
Boron-10-Slow Neutron Capture Therapy for Brain Tumors
畠中 坦
1
,
天野 数義
1
,
佐野 圭司
2
,
最上 平太郎
3
,
早川 徹
3
,
生塩 之敬
3
,
半田 肇
4
,
山下 純宏
4
,
渡辺 哲敏
5
,
宮川 正
6
,
美濃部 嶢
7
,
三島 豊
8
,
宮本 正光
9
,
柄川 順
10
,
三浦 健
11
,
小林 博
12
Hiroshi HATANAKA
1
1帝京大学脳神経外科
2東大脳外
3阪大脳外
4京大脳外
5東大医科研放射線科
6埼玉医大放射線科
7中央鉄道病院麻酔科
8和歌山医大皮膚科
9東大皮膚科
10帝京大放射線科
11東大二外
12東大産婦人科
1Department of Neurosurgery, Teikyo University School of Medicine
キーワード:
Brain tumor
,
Boron neutron capture therapy
Keyword:
Brain tumor
,
Boron neutron capture therapy
pp.7-16
発行日 1974年1月10日
Published Date 1974/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200137
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本療法の原理
従来の放射線療法では,たとえいかなる方法で狙いを定めて照射しても,元来,悪性腫瘍は,浸潤性で,腫瘍と正常組織の移行部が,直視下手術の時でさえよく判らないほどであるので,腫瘍のみに治療的線量を与えることは全く不可能であった.ことに,他臓器と異り,脳腫瘍の場合は,周辺の正常組織を損傷することは,これ迄でも「なるべく」避けたいとされたし,今後は,「絶対に」避けたいとされつつあるので,腫瘍の浸潤範囲が全く判っていない悪性腫瘍の場合,従来の外科的,放射線学的治療法では,選択的治療は全く不可能であった.結局,腫瘍の真の選択的治療は,何らかの生化学的,免疫化学的な,化学的方法に頼らざるを得ない.
脳腫瘍には幸い,いわゆる「血液脳関門」現象がなく,各種の物質を,周辺の脳組織よりも遙かに多量にとり込む利点がある.この利点のために,脳腫瘍では,他臓器の癌より先に硼素中性子捕捉療法が始められた.
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