扉
顔の見える医学部卒前教育
藤木 稔
1
Minoru FUJIKI
1
1大分大学医学部脳神経外科学
pp.569-570
発行日 2008年7月10日
Published Date 2008/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100761
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脳神経外科医の数が多すぎて抑制も必要と言われていた時代はそれほど昔ではない.新医師研修制度以降事情は一変し,地方の国立大学にあっては特に,地域の脳神経外科をいかに運営するか,どうやって若い人材に入局してもらうかが私たちの日常意識の大きな部分を占める.
自分が脳神経外科医を志した頃はどうであっただろうか? 顕微鏡下の脳神経外科手術が標準になり,新技術も積極的に導入する新時代黎明期と呼ぶにふさわしい活気に満ちあふれていた.研修医である私たちのオーベン,指導医の姿勢もスポーツ根性ものを彷彿とさせる非常に厳しいものであった.今ならパワハラともとられかねない指導もずいぶん受けてきたが,昭和の終わりという時代背景とも妙にマッチして不思議には感じなかった.今となっては懐かしくさえもあるこの教育方法は,最近の学生,研修医に受け入れられないであろうことは論を俟たない.確かに時代も変わった.リスク,リスクと学内外の目が光り,結果によっては,自分たちの意思とは正反対に刑事事件にさえなりかねない世の中である.報酬も未だつり合ったものとはいえない.
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