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編集後記
伊達 勲
pp.536
発行日 2007年5月10日
Published Date 2007/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436100567
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この編集後記を書いている3月は卒業,卒部のシーズンである.私は学生時代はバドミントン部に所属しており,教授就任後は顧問をしているので,毎年,卒部式(俗にいう追い出しコンパ)に出席している.卒部生各々に,6年間の活動をたたえる表彰状を渡し記念品を贈る.その後,卒部生は1人ずつ挨拶をするのであるが,部活動のコンパとはいえ,この日だけは他の日とはまったく違って,全部員が黒を基調とした正装で来ている.皆が挨拶を真剣な表情で聞くため,卒部生のほうも緊張してしまい何を話すつもりだったかを忘れることがある.
先日の卒部式のこと.ある卒部生は,羽織・袴の正装で来ていたのだが,挨拶中に言葉に詰まるといきなり後ろを向いて,何かを袂から取り出した.「ケータイ」である.われわれの感覚では,そのような時に備えて,メモを書いた紙を,手のひらか,ポケットに隠しておくのが普通かと思う.袂から出現した「ケータイ」で例の親指操作をした彼は,次の言葉を見つけたのだろう,再び振り向いて話を続けた.和服とケータイの組み合わせにも違和感を感じてはいけない時代になったと,妙に印象的なシーンであった.
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