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春爛漫の4月,岡山と香川を結ぶ瀬戸大橋の開通20周年を記念して,自動車をすべて通行禁止にしての大がかりなマラソン大会(15km)が開かれた.5,000名のランナーとともに,車の通らない瀬戸大橋上を走ったあと自宅に戻り,一息ついたところでこの編集後記を書いている.今月号の「扉」には香川大学の田宮 隆先生による「まんでがん」が掲載されている.田宮先生が述べられているように,大橋のおかげで,岡山と香川の交通は(というより中国と四国の交通は)本当に便利になり,香川での緊急手術の呼び出しでも岡山から1時間でたどりつけるようになった.その大橋の上を走りながら眺める瀬戸の島々の美しさはまた格別のものであった.以前は,「まんでがん」の心意気で走っていたが,今は健康のため楽しみながら走ることにしている.今月号は手術手技欄に渡邊学郎先生による「弁蓋部神経膠腫の手術」,総説欄に中里洋一先生による「脳腫瘍のWHO新分類」をはじめ読み応えのある論文が多数掲載されている.
学会の主催者がいろいろ悩むことの1つがその会のテーマの決定であろう.本年春の「脳卒中の外科学会」と「脳神経外科手術と機器学会」では,多少の表現の違いはあるものの,たまたま両学会とも「技術の継承」がメインテーマとなった.脳神経外科のような外科系では,内科系とちがって理論だけではものごとが片づかず,「徒弟制度」「手取り足取り」「見て盗め」などのキーワードで示されるような独特の技術の継承が大切な要素である.両学会の「技術の継承」のセッションでは,実際の手術室でのon the job training以外に,手術室の外で行うoff the job trainingの演題が多くみられた.
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