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Ⅰ.緒言
1926年Foix & Alajouanine7)は,病初は痙性,次いで弛緩性となる下肢の上行性筋萎縮性対麻痺,上行性の解離性知覚障害,遂には全知覚の消失,脊髄液の蛋白細胞分離等の臨床症候を呈し,全経過1〜2年で死亡した2症例を報告し,それらは病理解剖学的には下部胸髄から仙髄に至る髄外・髄内の主に静脈系血管の拡張,蛇行および壁の肥厚を伴い灰白質に壊死の目立つ脊髄炎,すなわちmyelitis centralis angiohypertrophicansというべき一独立疾患であることを発表した。それ以来,これに類似した症例はFoix-Alajouanine病として報告されている。しかしその後,Bodechtel & Erbsloh4)によつてこの疾患の独立性が論じられると同時に,この多くの報告例の中には必ずしも原著症例とは一致しない症例も混在していることが指摘された。ここに,この疾患の境界領域に関する問題が一つ存在する11)。更に,この疾患,なかでも血管病変の病因に関しても,外傷,動脈内膜炎,血栓性静脈炎などの後天的な病因を主張する者や,動静脈性動脈瘤,蔓状血管腫,先天的血管形成異常など,先天的な病因を主張する者など,論の多いところである。われわれはこの原著症例によく類似した1症例を経験したので,ここにそれを報告すると共に上記の病因論の問題点について私見を述べてみたい。
An autopsy case of Foix-Alajouanine's disease occurring in a 51 year-old male patient was reported, whose clinical course and patho-anatomical findings, especially of the spinal cord, were considerably similar to those of the original report described by Foix & Alajouanine in 1926.
The main findings, gross and histological, of this case were as follows: There found an extensive varicosis with marked fibrosis and thickening of the wall in the subarachnoidal longitudinal venous tracts, from the lower part of the thoracic to the sacral cord.
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