古典のページ
亜急性壊死性脊髄炎(Foix-Alajouanine病)—1926年〔第2回〕
平山 恵造
1
1順天堂大学脳神経科
pp.854-866
発行日 1971年4月30日
Published Date 1971/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904682
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
解説
前回訳出した部分は,一つの疾患を記述するに当つて最も基礎となる臨床的事項と,その裏付けとなる解剖学的事項で,本症における最も重要な観察事実の部分である。今回訳す部分は,これらをもととした原著者らの考察部分で,臨床病理学的位置づけにはじまる本症の取扱い方に対して原著者らの態度が示されている。
原著者らは,まず本症が脊髄炎の範疇に属するものであることから記述する。しかし,この時代は,脊髄炎なるものがなお充分に明らかにされていない頃で,脊髄炎についての研究の歴史的背景からときはじめて,当時病因の明らかにされていた急性前灰白髄炎,梅毒性脊髄炎や,多発性硬化症,さらにいろいろな病因によつてひき起こされるLandry麻痺との相違を明らかにして行く。その鑑別は,単に臨床的観点からのみならず,また病理解剖学的所見に偏重することもなく,臨床と病理の綜合的観察事実に基づいて,諄々と,本症が,既存の疾患と如何に異なるかを明らかにして行く。そして,視神経症状と脊髄症状とを併せ有する特異な脊髄炎,すなわちDevic病や,壊死性病変を有する脊髄軟化との異同も論ずる。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.