Japanese
English
特集 脳のシンポジウム
主題:姿勢と姿勢異常
特殊の臨床的姿勢異常—〔その7〕脳幹と頸の運動
Significance of the Brain Stem for the Neck Movement in Man
関野 宏明
1
Hiroaki Sekino
1
1東京大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.526-533
発行日 1967年10月25日
Published Date 1967/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906416
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I.緒言
現在,われわれが定位脳手術の対称としている疾患は,錐体外路系疾患,狂暴症(主として,てんかん患者にみられる),種々の原因による頑痛および,痙性斜頸などであるが,これらの手術のさいに脳幹各部位の刺激により,種々の運動効果がみられる。tremor,rigidity,頸の運動,眼球運動などであるが,今回はこれらのうち,頸の運動と脳幹との関係について現在までにえられた,2,3の知見について述べる。
いわゆる痙性斜頸の病因に関しては,器質的な疾患と考える立場10),精神的なものと考える立場3-7)があるが,患者の斜頸の状態は,患者の精神状態によつてかなり左右されることなどをみると,器質的なものの基礎の上に精神的な影響を考えるのが妥当であろう。またその剖検も,1922年Cassier4)が発表しているが,それ以後も数は少ない1)6)8)。これらをみると,共通した障害は,Putamen,Nucleus caudatusなどに求められる様である。一方実験的に痙性斜頸7)18)を作ろうという試みも多数なされている。これら病因論はさて置き,定位脳手術による治療の試みがなされ,われわれも種々の試みを行なつた。この手術のさいに,視床腹外側核(視床VL核と記す),視床腹部(Forel H-野)・赤核などの電気刺激により,頸の運動がみられた。
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