Japanese
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特集 脳のシンポジウム
主題:姿勢と姿勢異常
特殊の臨床的姿勢異常—〔その5〕筋緊張低下
Hypotonia
平山 恵造
1
Keizo Hirayama
1
1虎の門病院内科(神経)
1Toranomon Hospital
pp.517-520
発行日 1967年10月25日
Published Date 1967/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906414
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I.はじめに
筋トーヌスは筋の休息状態における永続的な緊張状態のほかに,種々の反射や運動によつてもたらされる不随意的な緊張状態をも含む。それゆえに筋トーヌスは単に受動的な運動に際して見られる筋の抵抗のみならず,いろいろな様相における観察が必要である。筋電図を利用した電気生理学的観察はそれらの一面を知る方法である。筋トーヌスの低下hypotonieは筋トーヌスの亢進hypertonieと異なり,その電気生理学的観察はむずかしく,今日においてもなおもつぱら臨床的観察を基礎としている。筋卜ーヌスの研究は古くから多くの学者によつてなされたが,ここに述べるhypotonieはフランスのAndré Thomasによつてなされた筋トーヌスに関する集大成に基づくものである。それゆえに本題のhypotonieにはいる前に彼の筋トーヌスの観察方法を簡単に述べる必要があると考える。
筋トーヌスを観察する状態は大別して三つになる。休息状態にある筋のトーヌス,ある姿勢または体位をとつたときの筋トーヌス,さらにある運動中に示される筋トーヌス,すなわち1.Tonus de repos,2.Tonus postural,3.Tonus d'actionを観察するものである。そのおのおのについてそれぞれいくつかの観察点がある。
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