Japanese
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特集 脳のシンポジウム
主題:姿勢と姿勢異常
特殊の臨床的姿勢異常—〔その6〕脳性麻痺の姿勢異常
Abnormal Posture of Cerebral Palsy
長畑 正道
1
Masamichi Nagahata
1
1国立小児病院精神科
1Department of Psychiatry, National Childrens Hospital
pp.521-525
発行日 1967年10月25日
Published Date 1967/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431906415
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I.緒言
脳性麻痺の姿勢異常をとりあげるさいに,まず脳性麻痺の概念の整理が必要と考えられる。この問題については楢林,長畑1)がすでに発表したところであるが,脳性麻痺の姿勢異常を臨床的にとりあげる際に対象を明確にしておく必要があると考えられるので,簡単にふりかえつてみることにする。脳性麻痺は分娩周辺期あるいは出生前から乳幼児期までに生じた脳の非進行性病変に基づく運動障害であるが,この病変のひろがりや部位は多様である。したがつて臨床像も多岐にわたる。一般に出生前後または乳幼児における脳障害より生じる状態像は(1)主として運動障害のみられる脳性麻痺,(2)知能のおかされる精神薄弱,(3)けいれん発作のみられるてんかん,(4)行動異常の4者がおもなものである。もちろんこれらの状態像は互いに重なり合うこともある。しかし知能障害,てんかんおよび行動異常を伴わない運動障害のみが主としてみられるいわば脳性麻痺の中核群とも考えられるものが存在しうるわけである。脳性麻痺について論じる場合,この中核群を研究の対象にすることがいろいろの混乱を防ぐのに重要と考えられる。したがつて脳性麻痺の姿勢異常を考えていく際にも,この中核群に対象をしぼつてみたいとおもう。
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