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I.はじめに
従来の神経学では単位病変の症状あるいは単位システムの症状を対象に症候学が発展してきた。下位運動ニューロン病変によって脱力と筋萎縮を生じ,上位運動ニューロンの障害で痙性麻痺やBabinski徴候が出現し,小脳の病変で運動失調と筋緊張低下が現われ,後索の変化で深部知覚障害を呈するというのは単位病変に対応する症状ということができる。これらの病変が組み合わさって,例えば上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが障害されるとき,両者に共通の脱力を中心として,両病変の程度によって筋緊張は痙性ともなり,弛緩性にもなり,腱反射は亢進もし,あるいは減弱もすると理解され,病変レベルは上下にわたるが,1つのシステムの中での変化としてとらえられてきた。一方,小脳系病変と後索系病変とが共存する場合には両者の症状の加算として症状が現われるとされてきた。
これらで代表されるように,従来の神経学では,病変が腹数の時,同一系統内に病変があればその強弱により症状が規定され,病変が多系統にまたがるときは症状が加算されて現われるという理解が主体をなしていた。すなわち,障害部位が直列関係のときは上下病変の±で,並列関係のときは足し算として現われると考えられてきた。
Abstract
In cases of lesions involving both cerebellar and extrapyramidal systems, what kind of altera-tions are caused in originally existed motor symptoms of the one system, which is cerebellar or extrapyramidal symptoms by the additional lesion of the other system? Several papers on this problem have been reported by one of the authors [K.H.] and this paper is a review of these papers.
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