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はじめに
"Stiff-man"症候群(以下SMS)は,固縮と痙攣を主症状とする原因不明の疾患である。固縮は,体幹および四肢(近位筋優位)に出現し,徐々に進行する。これに加え,驚愕,知覚刺激,随意運動などに際し,激しい有痛性痙攣が体幹・四肢に出現するため,体動が著しく困難となって臥床を強いられる。"Stiff-man(硬い人)"症候群とは,MoerschとWoltman(1956)1)による最初の報告例のニックネームに由来している。以来,70例を越す症例が報告され,診断基準(表1)2)も提唱されて,疾患概念として明確になっているが,責任病巣,病態生理などは,いまだに解明されていない。
本稿では,まず,診断基準からみるとSMSの概念から外れてしまうが,SMSに極めて類似する体幹・四肢の固縮を示した症例を呈示し,電気生理学的所見および病理像より,脊髄性固縮の発現機序を論ずる。さらに,この結果をもとに,SMSおよび類縁症例と比較しながら,SMSの特異な固縮の病態生理について考察した。
"Stiff-man" syndrome (SMS) is a rare disorder of unknown etiology, characterized by persistent muscular rigidity and painful spasms evoked by various stimuli. Since the original report of Moersch and Woltman more than 70 cases were reported, but the pathophysiological mechanisms have not been fully elucidated yet.
A patient with unusual muscular rigidity resembling the SMS is described.
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