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I.はじめに
ヒトの大脳の求心性機能を反映する脳電位としては,1947年にDawsonが開発した加算平均法による体性感覚誘発電位を初めとして,視覚,聴覚など広く生理学的に研究され,また臨床診断にも応用されてきた。これに対して,大脳の遠心性機能を反映する脳電位は,1965年にKornhuberとDeecke33)が逆行性加算平均法によって随意運動に先行する脳電位を記録することに成功して以来,次第に注目を集めてはきたが,その生理学的意義はまだ充分には明らかにされておらず,ましてやその臨床応用はほど遠い状態である。その主な原因としては,求心性機能を反映する脳電位のいわゆる早期成分に比較して,遠心性機能の方は覚醒度や注意,意欲などの影響を受けやすいこと,さらに記録手技の困難さの相違があげられる。
しかしながら,いま運動皮質の錐体路細胞の活動を反映する電位を頭皮上から記録することができれば,皮質脊髄路のインパルス伝導時間をはじめとしてその臨床的応用価値は高いものと思われる。そこで本稿では,この運動関連脳電位(movement-related cortical potential,MPと略す)についてこれまでに発表されてきた事実をふり返り,問題点を明らかにしようとした。
Since Kornhuber and Deecke succeeded in recording the cortical potentials preceding the voluntary movement by reverse averaging in 1965, many studies in this field have been reported. In this paper, literatures regarding studies on the movement-related cortical potentials (MP) were reviewed, quoting some of the results from the author's own works. Special importance was placed on the method of recording MP, terminology of each component and its significance.
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