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I.はじめに
視覚野の主な働きは形状視である。視覚野には約10億の神経細胞があると言われるが,そのおのおのが特定の図形に選択的に反応する(反応選択性)。視覚野のもう一つの働きは両眼視(立体視)である。大部分の視覚野ニューロンは両眼からの視覚入力を受けている。このような視覚野ニューロンの働きは生まれつきあるのでなく,生後約2か月の間に出来上がることが知られている。WieselとHubel(1963)はこの時期に極端な視覚体験を与えると視覚野のニューロンの働きが非可逆的に変化することを明らかにし,視覚中枢の可塑性の研究の口火を開いた。HubelとWieselらは生まれたばかりの子猫の視覚野ニューロンにも視覚機能がある程度備わっていることを重視し,視覚は生得的に備わったものであると主張した(先天説)。その後,BlakemoreとPettigrewら(BlakemoreとCooper,1970;Pettigrewsら,1973)は視覚野ニューロンの視覚機能が幼若時の視覚体験に適応して形成されることを示し,視覚機能は視覚体験の学習により形成されると主張した(後天説)。両学説の論争は現在に至るまで続けられ,両派から数多くの研究が発表されている。現在では両派の実験結果はほとんどの部分で一致し,その解釈が主な争点になっている。
Abstract
Recent development in the studies of visual cortical plasticity has been reviewed focusing on three major topics ; 1) Dispute between nature and nurture theories, 2) gating mechanisms of visual cortical plasticity on the basis of three non-visual inputs, 3) electrophysiological demon-stration of synaptic plasticity in a slice preparation of visual cortex.
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