今月の主題 不整脈のハイライト
刺激伝達異常に関する最近の考え方
副伝導路
高木 誠
1
1京都市立病院内科循環器科
pp.42-46
発行日 1976年1月10日
Published Date 1976/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206370
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
副伝導路とその分類
正常心の心房と心室の間は線維輪をなす結合組織性隔膜によって遮断され,心房からの興奮は唯一の伝導路である,いわゆるHis-田原系の刺激伝導系を経て心室へ伝えられる.すなわち,房室結節とそれに続く房室束(His-田原系)があり,房室束の幹は線維輪を穿通し,ついで幹からは左右の両脚を分岐し,さらにPurkinje線維網を経て心室筋へと伝えられる.それ以外の方法で心房からの刺激が心室へ伝えられることは,正常の状態では存在しない.
この正常刺激伝導系の最大の特徴はその中に房室結節が存在することで,そこでは生理的な伝導の遅延が行われる.房室結節内での伝導時間は,His束心電図(HBE)ではほぼAH時間に一致する.心房早期収縮が発生したり,あるいは人工的に電気刺激を加えて心房の早期脱極(PAD)を生じさせると房室結節での伝導遅延はさらに著明となり,HBE的にはAH時間が延長する.そのような場合でも,His-Purkinje系の伝導時間と考えられるHV時間は一定不変である.心房の興奮がさらに早期に発生すると,房室結節の不応期のため心房からの刺激は途絶されて心室へ伝えられなくなり,HBE的にはAHブロックとなる.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.