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特集 神経ペプチド
神経ペプチド研究の現状と将来
A perspective of research on neuropeptides
金澤 一郎
1
Ichiro Kanazawa
1
1筑波大学臨床医学系神経内科
1Department of Neurology, Institute of Clinical Medicine, The University of Tsukuba
pp.357-363
発行日 1983年6月10日
Published Date 1983/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905497
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はじめに
神経ペプチドの意味するところは,神経組織内に存在しており,生物学的な作用を持っているあるいは持つことが十分に期待されるペプチドということになろう。しかしながら多くの場合,神経分泌あるいは神経伝達の機能にかかわりのあるペプチドを神経ペプチドと呼んでいるように思われる。
このような神経ペプチドの研究は,今世紀中頃からいわゆるペプチドホルモンに関する内分泌学から発展し,1970年代に入ってその延長上の視床下部ホルモンの研究へつながり,いっぽう,神経伝達物質の研究がこれに合流したという歴史がある。古典的といわれる神経伝達物質,たとえばアセチルコリン,GABA,ノルアドレナリンなどのリストに,ペプチドが登場したのはsubstancePがおそらく初めであり,それは大塚教授らの一連の精力的な業績によるものである27)。Substance Pが神経伝達物質であるならば,それまで内分泌学の中でよく知られているペプチドホルモン,たとえばTRH,somatostatinなども,神経伝達物質の可能性があろうとして,続々と名乗りを上げ,1980年代に入るとまさしく百花繚乱の感を呈するに到っている。こうした流れに,1975年に生まれた内囚性モルヒネ様ペプチド研究という大きな流れが合流し,現在の神経ペプチドの研究はまことに巨大な大河になっている。
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