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I.はじめに
昨今,陸続と神経組織に登場した生理活性ペプチド(神経ペプチド)は,それぞれが選択的局在やニューロン作用を示すことから,神経伝達との関連で深い関心が寄せられるところとなった。選択的局在のパターンはペプチドごとに異なるし,また他のいずれの伝達物質候補の分布とも類似しない。このことは,各ペプチドを含有するニューロンが独立に存在することを強く示唆するものであろう。また,これらペプチドの多くは特異的な向ニューロン作用を示すことから,実際にそれらがニューロンから分泌放出されて本来の機能を発揮することが示唆されるし,放出を証明する実験事実も部分的ではあるが報告されている。このような知見からペプチド性伝達物質という術語も生まれている。これらのペプチドの多くが消化器系を主とする末梢臓器にも存在し,そこで強力な生理活性を示す事実はニューロンとパラニューロンの連続性を支持する一つの根拠ともなるであろう。神経ペプチド自体が未熟な学問対象ではあるが,知見は爆発的に集積しつつある。本小文では,神経ペプチドの現況をある方向からまとめてみた。パラニューロンのペプチド性分泌物の生理的役割を考える一つの視点ともなれば幸いである。
Abstract
In recent years, there has been a tremendous upsurge in interest in biologically active peptides in brain tissue. These neuropeptides respectively reveal specific regional distribution, synaptosomal localization, high affinity receptor binding and neuronal effects, all of these favoring their trans-mitter role. Particularly substance P has been investigated extensively in the posterior horn of the spinal cord and is considered as a primary afferent transmitter.
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