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特集 錐体外路系疾患研究最近の進歩
今後の問題点ならびに展望
Future problems and closing remarks
楢林 博太郎
1
Hirotaro Narabayashi
1
1順天堂大学医学部脳神経内科
1Department of Neurology, Juntendo University Hospital
pp.192-193
発行日 1981年2月10日
Published Date 1981/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431905262
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1)はじめに述べたように,パーキンソン病の症状発現機構の研究においてdopamine(DA)代謝異常の存在の発見,それに対してのL-Dopa治療の成功は,慢性変性神経疾患の治療に輝かしい1頁を開いたものであった。またそのようなDA,ひいてはカテコールアミン代謝系の障害において,その引金となるものはチロシン水酸化酵素(TH)の活性の低下であり1),さらにそのcofactorであるbiopterinの低下を見出し,確定したことは,永津を中心とする目本の研究者の業績として誇るにたるものといってよい2)。
多様な錐体外路症状,不随意運動の中で,パーキンソン症状はその中核に位置する疾患であるとはいえ,その一部であることはいうまでもない。筆者がパーキンソン病に興味を持ち続けた理由の一つは,本疾患が筋トーヌスの異常としての強剛と,明らかな運動異常としての振戦という二つの異なった性質の症状の両者をあわせ持つことであった。換言すると,「筋緊張系の異常」と「phasic phenomenonと考えられる運動系の異常」の二つである。
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