Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
わが国の多発性硬化症(multiple sclerosis,以下MSと略す)は,同緯度の欧米諸国に比較してその有病率が著しく低い(Okinakaら,1960;Okinakaら,1966;KuroiwaとShibasaki,1976)とともに,異なった臨床像を示す症例が多いといわれている(Okinakaら,1958;Kuroiwaら,1965;椿,1966;Kuroiwa,1967;黒岩ら,1970;KuroiwaとShibasaki,1973;Kuroiwaら,1975)。すなわち,日本人は欧米人に比して,初発時に視力低下を呈するものが多く,全経過を通じて視神経と脊髄が主として侵されるものが多く,また比較的急激に進行するものが多いというのである。しかしながら,従来行なわれたこの種の比較は,異なった施設からそれぞれ異なった神経科医によって報告された臨床集計に基づくものであった。この点,たとえば診断基準の相違や,施設による患者集団の偏り,臨床像の評価法や集計法の相違などが結果に影響を及ぼすことが考えられる。
二つの患者集団を比較する場合に,いま同一分析者が同一手法を用いて行なえば,上記因子のいくつかの影響を克服することができる。
Abstract
In order to confirm the previously reported clinical differences between Caucasian and Oriental patients with multiple sclerosis (MS), British and Japanese patients were compared, using the same diagnostic criteria and the exactly same method of analysis.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.