連載 海外レポート ニューヨーク州保健省の日常・15(最終回)
人種と健康
ホスラー 晃子
1,2
Akiko S. Hosler
1,2
1ニューヨーク州保健省慢性病疫学課
2ニューヨーク州立大学公衆衛生大学院
pp.225-227
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902480
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1年以上にわたって掲載していただいた海外情報シリーズも,これで一応最終回を迎えることとなった.最後を飾るにあたって,今回は「人種」について,健康問題に絡めて考察してみることにする.
昨年11月に開かれたアメリカ公衆衛生学会のテーマは「健康の不均衡の排除」であった.多くの公衆衛生の関係者にとっては,この「不均衡」はracial disparities(人種間の不均衡)を暗示していることに,すぐピンとくるはずである.アメリカでは,相変わらず非白人の健康状態が芳しくない.特に黒人は平均余命がアメリカ一短く,妊産婦や乳幼児の健康,生活習慣病のリスク,予防接種や定期検診の受診率など,主な健康関係の指数が他のグループに比べ低い.連邦政府では,Office of Minority Healthという特別の機関を設立し,Healthy People 2000や2010でも,人種間の不均衡を縮めることを最重要目標の一つにしているが,それでもまだ望ましい成果は上がっていない.
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