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特集 アルツハイマー病—最近の話題
1.アルツハイマー病のリスクファクターとしての性・教育・人種差
Sex, Education, and Races as Risk Factors of Alzheimer's Disease
繁田 雅弘
1
,
本間 昭
2
Masahiro Shigeta
1
,
Akira Homma
2
1東京慈恵会医科大学精神医学講座
2東京都老人総合研究所精神医学部門
1Department of Psychiatry, Tokyo Jikei University School of Medicine
2Division of Psychiatry, Tokyo Metropolitan Insitute of Gerontology
キーワード:
Alzheimer's disease
,
sex
,
education
,
races
,
risk factor
Keyword:
Alzheimer's disease
,
sex
,
education
,
races
,
risk factor
pp.217-221
発行日 2001年3月1日
Published Date 2001/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901733
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はじめに
アルツハイマー病ないしはアルツハイマー型痴呆の危険因子に関して,現在までに多くの調査がなされ,それら因子の関与について検討がなされてきた。いまだ関与の有無について,意見の一致をみていない因子も少なくないが,いくつかの因子についてはその関与が確実であることが確認された。ほぼ確実とされている危険因子には,加齢,ダウン症,痴呆の家族歴,遺伝子異常などがある。
加齢は,それ単独で最も強力な危険因子である。高齢であるほど有病率は上昇し,65歳から85歳の範囲に限れば,年齢が5歳上がる毎に有病率は2倍に上昇するといわれる。ダウン症については,アルツハイマー病と神経病理学的変化が同様であること,またダウン症の家族歴がアルツハイマー病と関連することから,両疾患の関連が指摘され,その後確認されている。痴呆の家族歴に関しても,従来行われたケースコントロール研究のほとんどが有意な危険因子と結論付けている。遅発性のアルツハイマー病の場合に,家族歴との関連が見い出せなかったという報告もあるが,早発性のタイプにおいては確定的な危険因子といえる。アポリポ蛋白Eは,脂質の運搬や代謝ばかりでなく神経系の発育や修復にも関連するリポ蛋白である。作用機序は不明であるが,アポリポ蛋白Eの遺伝子のE2,E3,E4の3種のうちE4を2個もつ人は,最もアルツハイマー病になる危険が高く,また発病年齢も若い傾向がある。
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