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特集 第6回脳のシンポジウム
主題—日本における神経化学
神経終末分画から遊離される生物活性ポリペプチド
Biologically Active Polypeptides released from the Nerve Ending Particle Fraction
片岡 喜由
1
Kiyoshi Kataoka
1
1京都大学医学部生理学教室
1Dept. of Physiology, School of Medicine, Kyoto University
pp.347-349
発行日 1971年7月15日
Published Date 1971/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903244
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アセチルコリンが脊髄のある種のシナプスと同様に,脳の限局された部位で化学伝達物質としての役割を果たしているであろうことは充分考えられるが,これを支持する知見の一つとして,細胞化学的に分離した脳の神経終末分画およびシナプス小胞分画に高濃度の結合型アセチルコリンが存在し,これが種々の条件下で遊離される事実が挙げられる1)。試験管内にとりだしたシナプスから遊離放出されるアセチルコリンは,常にその特異的な薬理作用を指標とした生物検定により測定するが,精査してみると遊離される生物活性がすべてアセチルコリンに依存せず一部がポリペブチド様の物質によることが以前から知られていた2〜4)。このペプチド様の物質はあたかもアセチルコリンの遊離に伴うがごとくに試験管内シナプスから遊離され,その薬理学的な性質がP物質にきわめて類似することなどが報告されている3,4)。しかしP物質とアセチルコリソの脳でのregionalな分布の差5)は前者が後者の担体として機能するという主張6)を認め難いものにしている。一方かなり以前から単一物質として取り扱われてきたP物質はその後に試みられた精製の途上でいくつかの成分にわけられることが明らかとなり,各成分に特異的な生物活性もわかってきた7)。このいずれかの成分とアセチルコリンの間になんらかの機能上の関連があるかも知れないと考え,以下の実験を試みた。
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