特集 神経学における最近の研究
<臨床>
先天型進行性筋ジストロフィー症
福山 幸夫
1
1東京女子医科大学小児科学教室
pp.828-829
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904950
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生後直後から,あるいは乳児期早期から,著しい筋トーヌス低下,筋力低下,腱反射消失を呈する症例は知られていた。このうち進行増悪し,呼吸嚥下障害などを来たして乳幼児期に死亡する乳児型脊髄性進行性筋萎縮症が19世紀末にWERDNIG,HOFFMANNらによって確立され,次いで1900年OPPENHEIMが,臨床症状はWerdnig-Hoffmann病とほぼ同じだが,それと異なり良性経過をたどる症例の存在を指摘し,myatonia congenitaと名づけた。以後1950年代に至るまで半世紀にわたって,先天性hypotonia-hypokinesia症候群は,片や悪性進行性病werdnig-Hoffmannと,片や良性非進行性Oppenheim病の2群に分けられてきた。
しかし,W-H病が病理解剖所見の記載を伴う確実な疾患概念であったのに対し,Oppenheim病は臨床的記載しかない不完全な疾患概念であったので,次第にその独立性に疑いがもたれ,BRANDT(1952),WALTON(1956)によって,その概念は打破られることになった。
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