特集 神経学における最近の研究
<臨床>
アミロイドニューロパチー
荒木 淑郎
1
1宮崎医科大学第三内科
pp.821-822
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904947
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アミロイド(類澱粉)という名称は,1853年,VIRCHOWによって与えられたもので,疾患概念が確立されてからすでに長い歳月が過ぎたことになる。この原因不明の疾患に対し,最近,電子顕微鏡と生化学的研究によって,アミロイドの本態が特異な線維性蛋白であることが明らかにされ,アミロイドーシスにおけるアミロイドの沈着の部位も身体内の種々の臓器の細胞外であることが認められるようになった。臨床症状は,罹患臓器の障害の拡がりと程度によってさまざまであり,臨床診断は一般に困難である。生前診断は生検で偶然発見されることが多く,生検(直腸,皮膚,甲状腺,舌,腓腹神経など)のみが生前確診の手段である。アミロイドーシスの分類は,まだ統一されたものはない。わが国では,昭和50年,厚生省特定疾患アミロイドーシス調査研究班は,次のごとき新しい分類を採用した。①原発性アミロイドーシス,②多発性骨髄腫に合併するアミロイドーシス,③続発性アミロイドーシス,④分類困難なアミロイドーシス,⑤遺伝性アミロイドーシス,および⑥限局性アミロイドーシスである。
神経系の障害を主症状とするものは,原因の分からない原発性アミロイドーシスに多くみられ,続発性アミロイドーシスには,ほとんど認められていない。また原発性アミロイドーシスにおいても神経系の的障害は遺伝性(家族性)に高頻度に認められ,非遺伝性では著しく少ない。ゆえに上記の分類に従えば,①と⑤が該当することになる。
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