アミロイドニューロパチー

Amyloid Neuropathy

はじめに

　アミロイドニューロパチーの大部分は遺伝性であり，残りの少数が原発性AL-アミロイドーシスに伴って出現する。また両疾患でみられるアミロイドニューロパチーの臨床像に大きな差異がない。このため従来から遺伝性アミロイドニューロパチー（慣用語として家族性アミロイドポリニューロパチー，familial amy-loid polyneuropathy：FAPがある）の疾患概念をもって他の病態に伴うアミロイドニューロパチーを包括する傾向にある。

　FAPは集積地のみに発症する稀な疾患との古い概念が，多くの医師の間で定着している。しかし最近の疫学調査によれば，本疾患はわが国ではCharcot-Ma-rie-Tooth病に次いで頻度の高い遺伝性ニューロパチーである。またその臨床病理像も発症年齢，ニューロパチーの発現様式，内臓器官の侵され方を中心に非常に変異に富んでいる。したがって，EAPを正しく理解する第一歩は従来の固定概念を拭い去ることであると言っても過言ではない。