特集 神経学における最近の研究
<病理>
Menkes' kinky hair disease—神経病理学的所見について
今井 輝国
1
1天理よろづ相談所病院神経内科
pp.762-764
発行日 1978年7月10日
Published Date 1978/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904923
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1962年MENKESら1)は新しい疾患を発見し,A sex-linked recessive disorder with retardation of growth,peculiar hair,and focal cerebral and cerebellar degenerationとして報告した。症例は5例からなり,いずれも伴性劣性遺伝により男子にのみ発症した。患者は生後2〜3か月で発症し,薄くて乏しいちぢれた頭髪を有し,発育不全,けいれんおよび進行性のpsychomotor retardationなどを呈し,生後数年で死亡した。同様の疾患の臨床報告をBRAY2)が1965年に行ない,1966年AGUILARら3)は2症例の臨床および剖検所見の報告を行なった。その後多くの研究者により臨床4〜24)および病理報告4〜7,12,13,17,25〜28)がなされた。最近本邦からも松原ら29),秋間ら30)による剖検報告がある。
本疾患の病因機序はいまだ不明であるが,DANKSら31)が本疾患を有する患者の血清銅およびセルロプラスミンが低下していることを発見し,さらに銅の腸管からの吸収が障害されていることを証明した。しかし,DANKSらが提唱するように新生児期における腸管からの銅の吸収障害によってすべての症状を説明することは困難である。
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