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I.まえがき
1962年に初めて,Menkesらは,中枢神経系の変性疾患として,精神発達障害,身体的発育障害,頭髪の異常と特徴ある神経病理学的所見を呈する一家系男児5人の症例を報告した8)。その中の2剖検例の検索より,病理形態学的に特徴ある所見は,大脳皮質の広汎な変性,大脳白質の2次的変性と小脳皮質のびまん性萎縮であることを示した。その後,Aguilarら(1966)は第2番目の一家系2例の剖検所見を報告し,kinky hair diseaseとして,ひとつの疾患概念を提唱した1)。Danks(1972)らは5剖検例を報告しつつ,臨床的に血清銅と血清セルロプラスミンの低値が特徴ある検査所見であること,また,小腸における銅の吸収障害がこの疾患の病因であると説明した2)。現在までに,本疾患の剖検所見の報告は少なく,著者らの知るところ11例のみであろうと思われる。それらの文献をみるに,病変の性格とその拡がりについていまだ一致点をみない点が多い。かつまた,神経病理学的所見の記載において不明瞭な部分が多いようである。また本邦において,臨床例の報告9,10)はあるが,剖検例の報告はない。鴨下(1972)7)によるアメリカでの経験例の紹介があるのみである。
Summary
A clinical figure and autopsy findings of Menkes kinky hair disease of 1 year and 8 months old Japanese male infant is presented and compared especially with the morphological description of the previous literatures.
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