Japanese
English
特集 神経研究の方法論—その新らしいアプローチ
グリアの細胞培養とその応用生物学
Call Culture and its Applied Biology of Neuroglias
中沢 恒幸
1
,
小宮 英靖
1
Tsuneyuki Nakazawa
1
,
Hideyasu Komiya
1
1慶応義塾大学医学部神経科学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, School of Med., Keio Univ
pp.617-636
発行日 1969年11月25日
Published Date 1969/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904629
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Ⅰ.はじめに
神経膠細胞(neuroglia,以下グリアと略す)と神経細胞の生化学的あるいは電気生理学的な機能相関についての検討46,47,53,87),両細胞が一つのmetabolic unitを形成するという推論,またグリアが記憶の保持再生機構の役割に占める可能性など41,48,49),グリアに関する話題は多い。そしてこれらの検討の手段としてそれぞれその限界を認知しながらmicrodissectionや遠心分離法の開発とともに,組織培養による髄鞘形成時のグリアの機能的位置づけのごとき形態学的追求13,77,78,95)やグリアの純培養69)・株化73)がグリアのparameterを知る意味で注目されている。
元来組織培養は神経発生学者が神経発生の機序解明の一助として切断,移植の手技とともに使用していたものである。しかし1940年代よりEarle,Sanfordらの単離細胞の培養とその細胞を宿主とする動物ウイルス増殖の成功,Puckらの少数細胞の定量,5%CO2恒温装置と細胞コロニー形成や細胞レベルでの遺伝形質の問題,1950年代より培養で増殖が安定した株細胞の利用が発達するにつれ"培養細胞をいかなる生物として認識すべきか"という基本的課題が問題となつたのもまた当然の趨勢であつた。
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