Japanese
English
特集 第7回脳のシンポジウム
主題—グリア細胞
グリア細胞—形態学より
Morphological aspect of neuroglia with historical review
萬年 甫
1
Hajime MANNEN
1
1東京医科歯科大学医学部第三解剖学教室
1Third Department of Anatomy, School of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.9-15
発行日 1972年2月1日
Published Date 1972/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903337
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今日ニューログリア(以下グリアとする)は主としてその樹状突起の形態によつて,図1のごとくに分類されている。3者に共通なことは比較的大きな核のまわりにわずかな細胞体があり,これから突起(ないしは線維)を放射していることである。発生をたどつてみると,アストログリアとオリゴデンドログリアはニューロンと同じく外胚葉性で,発生初期の神経管の上衣から分化したものであるのに対し,ミクログリアは中胚葉性であつて,その間に厳たる一線があるといわれる。このことも合わせ前2者をマクログリアと呼び,ミクログリアと対比させるのが普通である。機能的にはアストログリアは中枢神経内の結合織として結締支持の役をはたす一方,血管と神経細胞との間に介在して物質代謝に関与する。病的の場合は瘢痕形成にもあたる。オリゴデンドログリアの主たる機能は髄鞘の形成で,その点末梢神経のSchwann細胞と相同の要素である。また神経細胞のSatelliteとして物質代謝にもあずかると考えられている。これに対しミクログリアは正常状態で中枢神経系内に遍在するとはいえ中枢内に病的過程が起つた場合に主として目立つ存在であり,喰細胞能,喰血球能を発揮して病的産物の清掃にあたる。
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