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特集 神経病理—第10回日本神経病理学会総会より
電子顕微鏡・組織化学・組織培養
脳内移植による培養グリア細胞の検討
Biological Properties of Glial Cell-line Explantated in Rat Brain
上島 国利
1,3
,
小宮 英靖
2,3
,
富永 淳
4
Kunitoshi Kamijima
1,3
,
Hideyasu Komiya
2,3
,
Jun Tominaga
4
1三恵病院
2日吉病院
3慶応義塾大学医学部精神神経科学教室
4清瀬富士見病院
1Sankei Hospital
2Hiyoshi Hospital
3Dept. of Neuropsychiatry, Keio univ., School of Medicine
4Kiyose Fujimigaoka Hospital
pp.244-252
発行日 1970年7月5日
Published Date 1970/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903129
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Ⅰ.緒言
細胞をin vivoの生理的状態から分離し,試験管内で維持増殖させる組織培養法は,関与因子の単純化による細胞レベルでの分析的定量的検討に便である。しかしその場合当然の帰趨として安定した細胞純化に到達するが,一方でそれ自体,以下の矛盾を露呈する。すなわち細胞純化とともに物理的生化学的条件ならびにcell-relationの変化が生じ,純化された細胞の形態・代謝の変化を惹起する。その1例として試験管内悪性化の問題がある。Gey9)およびEarle6)らはラット・マウスの正常組織由来の線維芽細胞株が,長期継代培養後in vivoへの移植に際して肉腫形成能を獲得することを報告し,正常細胞の悪性化機転の追求に一つの示唆を与えている。一方正常脳組織よりの細胞純化の方法を組織培養に求めた試みは35),継代培養につれて生ずる細胞の形態変化のため細胞同定に不明確な点が多い。
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