特集 脳のシンポジウム
主題 脳循環
指定発言
光野 孝雄
1
,
勝木 司馬之助
2
,
飯野 耕三
2
1神戸大学医学部第1外科
2九州大学医学部内科
pp.554
発行日 1966年10月25日
Published Date 1966/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904348
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脳出血の脳循環,脳代謝に及ぼす影響について行なつた実験の結果を報告する。実験的脳出血の作製法にはGoldblatt法,脳塞栓法そのほか種々あるが,私どもは独自の方法としてイヌの内包付近に自家血液の凝血細片を注入して血腫を作り,観察した。そして電磁流量計によって血流量を調べたところ,頸動脈,椎骨動脈ともに流量は減少し,注入3時間後は約40%減少した。この場合椎骨動脈は頸動脈よりも注入後急速に減少したが,これは脳出血病態生理上重要な意義を有していると思われる。この流量減少の原因としては心搏出量減少,血圧低下,脳圧亢進,頸部交感神経刺激状態そのほかの要因が考えられるが,血腫の局所的要因が最も深いものと思われる。
血流量減少の治療として,塩酸パパベリン,カリクレンの注射,5%CO2吸入,星状神経節切除はいずれも流量を増加させるが,いずれも一時的効果しかないのに反して,血腫除去は長時間の効果があり,最も有効な治療法であることが確認された。
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