特集 脳のシンポジウム
主題 脳と行動
指定発言
臺 弘
1
1東京大学医学部精神科
pp.462-463
発行日 1966年10月25日
Published Date 1966/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904324
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(1)
平尾教授は動物と人間の行動のある側面について,それらが同じコトバで語れることを,あるいは同じ数学的操作で処理できることを見事に示して下さつた。私は同教授とこのような問題についていつも話し合つているので,今さらここで発言するのも不自然な感じがするが,許されたので二,三の点について述べてみたいと思う。
第1は追加または解説めいたことで,平尾氏のお話に関連して,精神医学の側から,つまり人間の行動異常の学としての精神病学の立場から述べてみたい。第2はこの種の問題の処理の仕方は,課題の解決にとつてどのような意味をもつか,問題の解決の中でどのように位置づけられるかという点である。素朴にいえば,このようなことをやつて一体なんの役に立っかという問いである。第3に,平尾氏の行動の方式化と,一般に行なわれている脳の機序の生理・化学的な解析との結びつきが問題となる。これについては,私は自分が従来から関心をもつてきた神経化学の領域で,できれば,平尾氏と後で発表の予定されている柿本氏との間の間隙をうずめたいと考えている。
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