特集 脳のシンポジウム
主題 視床の構造と機能
指定発言 視床腹側核の自律系反応と眼瞼閉鎖について
堺 章
1
1大阪大学医学部解剖学
pp.525-526
発行日 1966年10月25日
Published Date 1966/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904340
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私は視床の自律系反応を調べているが1)〜4),今回は腹側核について報省する。1g/kgのウレタン麻酔をした家兎を感応コイルと矩形波を用い,種々の刺激条件で反覆刺激し,血圧と胃体運動を同時に記録し,瞳孔その他の全身変化を参考にして,自律系反応を調べた。刺激部位の命名はAndo5)(′37)を参照した。外側前部VAL(9例)は強刺激で刺激と同側の散瞳(5例)と反対側の眼瞼閉鎖(6例)をみた。血圧は両性反応(同一部位の反応様式が刺激条件で交感性と副交感性の両反応を示す)をよく示すが,2例で上昇した。胃体運動は5例で抑制,4例で両性反応を呈した。内側中部VMM(7例)は中等度の刺激で両側の散瞳を示したが,1例で反対側の閉眼(強刺激)をみた。血圧と胃体運動はともに交感性反応が強いが,前方よりでは両性反応を認めた。外側中部VML(15例)は強刺激で同側の散瞳(6例)と反対側の閉眼(11例)をみた。血圧と胃体運動は一般に交感性反応が多いが,4例で副交感性反応を,時に両性反応をみた。内側後部VPM(4例)は強刺激で両側の散瞳をみた。血圧と胃体運動は一般に両性反応を示すが,交感性反応もみられた。外側後部VPL(3例)は強刺激で同側の散瞳と,反対側の閉眼(2例)をみたが,閉眼は刺激半ばより開眼し,散瞳した、血圧と胃体運動は両性もしくは交感性反応を示す。
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